8月
07
一区切り

6月に入ってから休み無くずっと続いていた吹奏楽コンクールへ向けての様々な取り組みが一区切り付いた。

多くの団体に関わるので、それぞれの個性とがっつり組み合って真剣勝負していると体力的に苦しいと思うときがごくたまにあった。(年齢のせい??、いやバンドのレッスンはパワーがいるのだよ!)
それでも、真剣に対峙して若い人達からたくさんのパワーもいただくから、次の日また同じように活動できる。ありがたいことです。

順調に出来たところ、準備に手間取ってしまったりなかなか思うようにいかなかったところ、逆に思った以上の成長を遂げたところ、様々だけれど、どこの誰もが、若くてしなやかな感性に何かがしっかりとどまって、この先の力になることは間違いないと思う。
そして、私はいつもそんな皆さんからパワーいただく。
 

今年も様々なエピソードがあるのだが、今は一つだけ書き記そうと思う。
N高校の付箋

(たまたま見つけて暗いところを急いで撮ったからか、ピンぼけで何かよくわからなくなっちゃった。)
これ、シーズン当初レッスン開始する時に「こんな事やると良いよ」と紹介する、コンクール課題曲・自由曲のダメだし表。
練習時の未解決ポイントを生徒達が自ら付箋に細かく書いて貼っていく。問題点の指摘表だ。解決したら剥がす。

詳しい説明は避けるが、これがきちんと運営出来るバンドは必ず伸びる。

もちろんこの表は「音が合い」「音楽が揃う」ことを目指すためにある。だから、そのだめ出しを指導者が全部していけば同様の効果はあるだろう。いや、むしろそちらの方が効率的かな。
しかし、大切なのはそこに至る道筋をバンドのメンバー達が自ら組み立てることにあると思っている。問題点を指摘することだけにとどまらず、改善のための練習を各々が組織することや、その成果を相互評価することまで、この表は含んでいる。
若い人達にとって、自分以外の者に対して「問題点を指摘する」という行為はかなりハードルが高いらしい。個人的事情を越えて関係者を集め指示をし問題点を解決していくのはさらにハードルは上がる。さらに、そのことを全員の目にさらされながら行うのだ。
集団がきちんと運営できていないとこの表は成り立たない。
だから、練習場のどこかにこの表があると、高いハードルを越えようと皆が強い意志で同じ目標に向かっていることを感じ、すごく嬉しくなる。

上の写真は今年の、ある高校バンドのもの。
やはり、素晴らしく良い演奏をした。練習も皆前向きでとてもスムーズだった。コンクール的にも県代表選考会という本番まで快進撃した。

そうそう、久しぶりに県代表選考会(高校)に行って改めてすごいなぁ、と思った。
グランドハープ2台、チェレスタ、コントラバスーンに、コントラバスクラ、コールアングレ…。ウィンドマシン始め打楽器の楽器クオリティも凄まじい!そんなバンドばかりだった。私立のみならず県立も!!!
一方、愛すべきその高校は、ハープ・チェレスタ有るわけ無い。コールアングレはおろかオーボエすらない。バスーンもない。メンバーでない1年生に至っては担当楽器の不足で別の楽器で練習、しかも交代で!のような、強豪校とは全くかけ離れたごくごく普通の学校なんだな。

本番のアクシデントはそれなりにあっただろうと思う。良くありがちな「吹けてないところは吹かなくて良い」「傷は聞こえないように隠す」の発想は微塵もないから、コンクール的には聞く人にとって印象が良くないこともあったかもしれない。
しかし、全員が音楽の喜びを感じながら、表現という領域に達することが出来た素晴らしい演奏であったと確信する。それは一つの大いなる目標に向かって全員が主体的に精一杯発揮し、しかも誰一人臆することなく音楽に参加していることの証明だ。

そんなバンドの演奏に関わる出来て、今年も絶大なるパワーをいただいた。
本当にありがとう。
もちろん、今年はこのバンドだけでなくそのような展開のバンドが多くあった。それぞれが力を発揮し、音楽をする意味を確認できるような、素晴らしい事が多かった。

ここまで私が音楽や吹奏楽を続けてこられているのは、そんなバンドで頑張っている若い人達がいるから。
本当に心から感謝します。

ありがとう。
ありがとう。