稲垣先生のこと。

1998年卒 久野美砂

本番。
指揮をされる前に長尾先生が上を見てから始まった、海の肖像。

初めて稲垣先生の指揮で演奏した時のことを考えていました。
お身体の心配もありましたが、指揮台に上がったとたん、まるで別の世界に変わったような、とても力強く暖かい、強烈なオーラを感じ、私は圧倒され、動けないまま曲が始まったのです。
(その曲は最初に出番がなく助かりました)

曲が進むにつれ、あれっ?と。
その時に感じたオーラがホールを包んでいました。しかも、みなさんから少しずつそのオーラのもとがポツポツと出て、上がって、まとまり、大きなものになっていくのが見えました。

そうか、稲垣先生のオーラは、稲垣先生だけのものではないのだと。
舞台の隅っこで、とても幸せな気持ちになりました。

演奏会中はとてもたくさんのことがありました。
私も、笑顔になったり、涙ぐんだり、目がまわって音がうまく出せなかったり、やっぱり下手だったり、色々と。
今回の演奏会で、自分がどの程度の下手さなのかわかったことも、大きいです。

スタッフとしての作業も、自分にはとても荷が重い中、怒られたり、助けられたり、投げ出したくなったりしましたが、自分のためにも必要なことだったと思います。
少しは成長できたでしょうか?
まだ作業が全て終わったわけではありません。最後まで取り組みます。

もうひとつ。私の中でとても大きなことがありました。
パンフレットに書いた、「いつか時が満ちたら。」それが、もう叶っていたなんて。

シンバルを教えていただいた先輩に、「一番大切な人が正門にいると強く思って。その人に届くように音を出しなさい」と言われたのが最初です。
自分は、そこから全てが始まりました。なので、私もそこからと。
でも色々あって教えれなかった後輩に、練習中に「うっちーの様にたたけ!」と何度か言われたことや、いつも先輩を感じて練習してましたと言われ、私が教えなくても自然と身に付けていた後輩に、頼もしく、今でも泣いてしまうほど、嬉しくて。
彼女の音は、本当に素晴らしくて。私も前に進んでいいんだと、思いました。

20年もグダグダしていた私を、力強く、救ってくれた。

たくさんのことが起きて、まとまりのない文章ですみません。タイトルから離れていってますし。

こんな私でも、よくしていただいて、ありがとうございます。

今回の演奏会は、一回きり。ですが、ここからがスタートです。
目標達成に向け、私には、何ができるだろう。
皆様、これからも、よろしくお願い致します。

皆様お疲れ様でした

1985年度卒 尾関達也

6月1日の演奏会は、皆様お疲れ様でした。

この演奏会が企画され、参加の集約の声がかかったときは、まだ稲垣先生もご存命で「もう一度先生の指揮でマイウェイを吹きたい!」と思い参加を決めました。
その曲だけ位の軽い?気持ちで練習に参加していましたが、曲が増える度にブランクの長い私には難しい曲が多く、正直諦めてバンドを去ろうと思っていました。

鳴海での懇親会の時に長尾先生が、スカビートの曲をしたいと伺い「ギターで一曲出るのもありかな?」「でもな~」と考えたり。
その後何度か練習に行く度に、「やっぱりついてけないから辞めよう」と葛藤してました。

そうこうするうちに、スタッフに松井君から、インスペクターのサポートを頼まれました。
お気付きにならない方もみえると思いますが、私は最初からスタッフではなく、途中から裏方をやらせて頂いてます。
そのサポートスタッフの誘いを期に「よし!トロンボーンは今回は吹かない!その代わり裏方で皆さんをサポートしよう!」と決めバンドを去ることを踏みとどまりました。

毎回出来るだけ練習に参加し、皆さんの演奏を聴いてると、ギター1曲ならもう少し弾くか?と考え最終的に4曲参加させて頂きました。
今思うと、コンサートホールにギターで出たのも、貴重な経験だったと思っています。

演奏でもスタッフとしても、あまり貢献出来ませんでしたが、沢山の方々と出会い、繋がる事が出来ました。
ALL TOHO WINDSに参加し、演奏会の一員として同じ舞台に上がれた事は、本当に貴重な経験になりました。

また皆さんと一緒に音楽やりたいです!
このご縁を絶やさず、今後ともよろしくお願いいたします。
色々とご迷惑をお掛けしましたが、ありがとうございました。

6月1日(土)公演終了!

ALL TOHO WINDS CONCERTを無事に開催することができました。
多くの方々にご来場いただき、メンバー一同、心より感謝申し上げます。
また、お手伝いしてくださった方々、関係者および演奏会を支えてくださったみなさま、本当にありがとうございました。

1年間の準備期間を経て迎えた本番当日。
メンバーそれぞれのいろいろな思いがつまった演奏会となりました。
みなさん「心から楽しく吹ける」本番になりましたでしょうか。
演奏会のことについては、長尾先生が語られると思いますのでここでは割愛し、少し時間を巻き戻して当日の動きを書きます。

この日の午前中は、ゲネプロでした。
まずは合同演奏の曲から。さすがに150人を超える演奏者が舞台に乗るとすごい迫力です。ここまでいっぱいになるのは、まず見られない光景だと思います。客席から見ていて、ぎっしり感がすごかったです。パートによっては狭くて大変だったのではないでしょうか。

ざっと通して、楽器を2部用に転換です。昨日、転換用に楽器の配置図を書き、確認していたのですが、それでもやはり「あれ、ここだっけ?」「これはいるの?」などちょっとあたふたしてしまい、不安な気持ちに。どうにか転換を終え、2部のゲネに入りました。この時間を利用して、食事、着替え、打ち合わせや譜読みなどをしているとあっという間に時間が過ぎてしまいました。

2部から1部への舞台転換は、大きな楽器を出し入れが必要です。時間をあまりかけずに慎重に正確に動かすこと、場所をきちんと把握することを心がけました。1部のゲネに入り、本当に本当にここが最後なのに失敗してしまい、がっくりしてしまいました。

このゲネで「メキシコの祭り」2楽章のホルンソロがパイプオルガンの前で演奏されることを知り、びっくり! スポットライトが当っている先輩をみて「おおおお」と、どよめきが起こりました。

ゲネは定刻通りに終わり、いよいよ開場を待つばかり。
わたしは個人的に開演前に袖から客席を見るのがすごく好きなので、今回も時間の許す限り見ていました。舞台袖でロビーが映るモニターには、続々とお客さまが入場する姿が。客席もどんどん埋まっていきます。「本当に、この日、この時間を迎えたんだな」と感慨深く本番を待ちました。

終演後に、ALL TOHO WINDSメンバーと吹奏楽部のみなさんとの交流セレモニーが開かれました。
先ほどまで楽器、譜面台が乗っていた舞台とお客さまでいっぱいだった客席は、メンバーと関係者だけが残り、何事もなかったかのような状態に戻りました。

セレモニーでは、長尾先生、古野先生とともに藤本校長先生と保坂元吹奏楽部顧問のご挨拶を頂戴しました。
この後、ALL TOHO WINDSで購入した楽器と今回の演奏会で使用した楽譜の贈呈式も行われました。

ちなみに贈呈した楽器には、ALL TOHO WINDSのロゴ入りステッカーを貼付しました。余ったステッカーはみなさんに配布されたそうですが、わたしは手に入れることができませんでした。ちょっと悔しかったです。

残りの時間で集合写真の撮影をしました。パートごとでも写真撮影をする時間があり、短い時間ではありましたが、話したり写真を撮って交流することができました。

セレモニー終了後は撤収作業となり、帰路につく人、打ち上げに参加する人、片付けに奔走する人、などそれぞれのタイミングで解散となりました。

本番が始まるまでは、楽しさやワクワク感よりも不安や心配事ばかりでした。でも、開演するとあっという間で特に3部がとても楽しくて、充実感も得ることができました。あの本番の集中力と緊張感は普段味わうことのない感覚で、ちょっと忘れ難いです。またいつかどこかで、この感覚を得ることができたらいいなと思っています。

改めまして、みなさま1年間おつかれさまでした、ありがとうございました。
長尾先生がおっしゃていたとおり「人がつながる」バンドとして、さまざまな世代が集まって素晴らしい時間を共有できたと思います。
今回は参加できなかった東邦サウンドで育った皆さんも、次回はぜひご参加を!
これからもつながっていけるといいですね。

プログラム
1部
  (ALL TOHO WINDS)
「五月の風」作曲:真島俊夫
「吹奏楽のための寓話」作曲:兼田敏
「音詩 海の肖像」作曲:H.ラガッシー
「メキシコの祭り」作曲:O.リード

2部
  (東邦高等学校吹奏楽部)
「管楽器と打楽器のためのセレブレーション 」作曲:J.スウェアリンジェン
「ロマネスク」作曲:J.スウェアリンジェン
「富士山 -北斎の版画に触発されて-」作曲:真島俊夫
「ディズニー・プリンセス・メドレー 」編曲:鈴木英史

3部
   (ALL TOHO WINDS)
「キャラバン」作曲:デュークエリントン 編曲:長尾洪基
「女の子は誰でも」作曲:椎名林檎 編曲:オリジナルビッグバンド 羽毛田耕士、吹奏楽 金山徹
「雨にぬれても」作曲:B.バカラック 編曲:東海林修
「スペイン」作曲 チック・コリア 編曲:中路英明 吹奏楽編曲:宮川成治

   (ALL TOHO WINDS meets 東邦高等学校吹奏楽部)
「マイ ウェイ」作曲:クロード・フランソワ、ジャック・ルヴォー 編曲:岩井直薄
「オーメンズ・オブ・ラブ」作曲:和泉宏隆 編曲:真島俊夫

アンコール

「鷲が舞うところ」作曲:S.ライニキー
「東邦高等学校校歌」

5月31日(金) 前日リハーサル@芸文コンサートホール

前日リハーサルの日となりました。

仕事を終えて芸文に駆けつけると、すでに吹奏楽部の皆さんのリハが始まっていました。
曲を聞きたかったのですが、打ち合わせなどがあり、きちんと見ることができないまま自分たちのリハの番になりました。

舞台に乗ってまず感じたのは、パーカッションのスペースがかなり狭いこと。今まで何回か乗ったことのある舞台なのですが、こんなに狭い?というくらいみっしりです。自分の立ち位置を確認し、楽器間の移動がスムーズにできるよう、なるべくスペースを確保するようにしました。それでも圧迫感があり、大丈夫かなと思ってしまいました。

さらに不安になったのは、舞台転換時の楽器の出し入れと配置です。限られた時間内で、きちんと楽器とスティック、マレット類を配置しなくてはなりません。お手伝いさんはいないので、メンバーだけで動かします。楽器の配置図をその場でメモし、分担を決めて動かすようにしましたが、きちんと転換できるかかなり心配になりました。

また「コンサートホールはすごく響く」と散々聞かされてはいましたが、実際に音出しするとすごい響きで戸惑いました。さらに、かなり大きな音で叩かないとかき消されると指摘もあり、やはり現場でないとわからないことが多いなとつくづく思いました。

「メキシコの祭り」1楽章の中で出てくるバンダ担当の皆さんの配置も、このリハでようやく把握しました。事前に「舞台奥がぱかっと開く」と長尾先生から聞いてはいましたが、いまいち想像がつかなかったのですが、その通りに、開いた扉の奥から音がちゃんと聞こえてきます! 演奏しながらそちらが気になって見ていました。みなさん、同じ思いのようで先生から「あまり覗き込まないように」とのご指摘が。でも、こうなるなんてコンサートホールの舞台に乗るまで知りませんでしたから、見たくなるのも仕方ないことです。

このバンダ演奏の入るタイミングをしっかり合わせました。裏には指揮を見られるモニターがあり、バンダの皆さんはこのモニターに合わせて演奏します。初めの数回は、やはりタイミング合わなかったのですが、何回かやるうちに合ってきました。

全体的に時間が押しまくりで、ほとんど合わせることなく終了時間が来てしまいました。個人的には「えっ!もう終わり?」というくらいあっさりと終わってしまい、不安を残したまま芸文を後にしました。